ボタンの向きに違いがあるのはなぜ?
服を着るときに、「あれ?なんだかボタンの位置がいつもと違う」と思ったことはありませんか?
実は、男性用と女性用の服では、ボタンの付き方に決まったルールがあるのです。
この違いは、ただのデザインではなく、歴史や文化の影響を受けてきたものです。
ここでは、なぜボタンの向きに男女差があるのか、その主な3つの理由についてわかりやすく紹介します。
男性は「右前」、女性は「左前」が基本
服の前を重ねる方法は「前合わせ」と呼ばれています。
男性用の服は、右側にボタンがあり、左の布を上からかぶせる「右前」が基本です。
女性用の服はこれとは逆で、「左前」となっています。
このルールはシャツだけでなく、ジャケットやコートなど、前開きの服にも共通しています。
では、どうしてこんな違いが生まれたのでしょうか?
歴史をさかのぼると見えてくるボタンの向きの理由
ボタンが使われるようになったのは13世紀ごろのヨーロッパです。
当時は飾りとして使われていましたが、14世紀になると、ボタンホールとセットで実用的なものとして広まりました。
その後、男性と女性でボタンの向きが違う理由について、いくつかの興味深い説が語られるようになりました。
【説1】召使いが着せやすいように女性服は左前に
昔のヨーロッパでは、お金持ちの女性は自分で服を着ることは少なく、召使いが服を着せていました。
そのとき、召使いが向かい合ってボタンを留めるには、女性の服のボタンが左側についていると都合がよかったのです。
この理由で女性用の服は左前になり、それが今の時代まで引き継がれてきたという説があります。
【説2】授乳をしやすくするため
もう一つの理由は、赤ちゃんに授乳しやすくするためだったという説です。
多くの人は右利きなので、左腕で赤ちゃんを抱き、右手で服のボタンを開けることが多いです。
このとき、左前の服のほうが自然に開けやすいため、女性服にこの形が採用されたといわれています。
【説3】武器を使いやすくするため男性服は右前に
昔の男性は剣などの武器を持ち歩くことがありました。
右手で武器を抜くとき、布の重なりが左上になっていると邪魔になりにくいという理由で、男性の服は右前になったとも考えられています。
このように、生活の中での便利さが形として残ったのです。
シャツやコートなどにも見られるボタンの向きの違い
男女でボタンの付き方が違うのは、シャツだけではありません。
いろいろなタイプの服に、このルールが使われています。
シャツは最もわかりやすい例
シャツは男女でボタンの位置がはっきり違うアイテムです。
男性用は右前、女性用は左前になっていて、見た目でもすぐに気づくことができます。
アイロンをかけるときに違和感を覚えたら、それは反対の性別用のシャツかもしれません。
コートやジャケットもルールに沿って作られることが多い
上着類、特にジャケットやコートなども、男女でボタンの向きが違います。
とくにビジネス用やフォーマルな服では、この伝統に従って作られることが多く、マナーとしても大切にされています。
男女兼用の服は右前が多い
最近では、男女どちらでも着られる「ユニセックス」の服も増えてきました。
その場合、右利きの人にとって着やすいように、「右前」の形になっていることが多いです。
たくさんの人が使いやすいように配慮されたデザインといえます。
現代ではボタンの向きの考え方にも変化が
昔からの習慣が残っているボタンの向きですが、今ではその考え方にも変化が出てきています。
世界共通のルールとして広がっている
ボタンの左右のルールは、日本だけのものではありません。
もともと西洋から伝わってきた文化なので、海外のブランドでも同じような決まりが使われています。
デザイン優先でルールにとらわれない服も登場
最近のファッションでは、性別を問わずに着られるデザインが増えてきました。
そのため、ボタンの位置も自由に設定されることがあり、伝統的なルールにこだわらない服もよく見られます。
ボタンの向きを気にしない人も多くなっている
今では、「右前」か「左前」かというよりも、着やすさやデザインの好みを重視する人が増えています。
男性が女性用の服を着たり、女性が男性用を選ぶことも当たり前になってきました。
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まとめ:ボタンの位置は歴史の名残、今は自由に選ぼう
服のボタンが左右で違うのは、昔の暮らし方や考え方が影響しています。
しかし現代では、そのルールにあまりこだわらず、自分に合った服を自由に選ぶ人が増えています。
フォーマルな場では伝統を守ることも大切ですが、普段の生活では気にしすぎず、ボタンの位置も含めてファッションを楽しんでみてください。