ナイロン製のバッグやジャンパー、スポーツウェアなどにプリントされている文字やマークが、いつの間にかポロポロとはがれていた…そんなことはありませんか?
「まだ使いたいけど、見た目がちょっと残念」「お店に直してもらうのは手間だし、お金もかかりそう」――そんなふうに感じている方には、自分でできるかんたんな修理がおすすめです。
この記事では、なぜナイロンのプリントがはがれやすいのか、その理由や素材の特徴をわかりやすく解説します。
また、初めての方でも試しやすい修理のやり方や、少し遊び心のあるアレンジのヒントもご紹介します。
ナイロンにプリントされたデザインがはがれたときの直し方のポイント
ナイロンってどんな素材?使うときの注意点
ナイロンは、軽くて丈夫、水をはじきやすい特徴を持っていて、スポーツ用の服やアウトドア用品、かばんなどにたくさん使われています。
手ざわりはつるっとしていて、すぐに乾くので、ふだん使うものにもぴったりです。
でも、いくつか気をつけたいこともあります。
とくに注意したいのが「熱」。
ナイロンは高い温度に弱く、熱を加えすぎると、溶けたり形が変わったりすることがあります。
アイロンをかけるときは「低温」に設定することが大切です。
少しの油断で生地が傷むこともあるので、取り扱いにはていねいさが必要です。
また、洗い方や乾かし方によって、ナイロンのもちも変わってきます。
長く使うには、優しく洗って、風通しのよい場所で干すのがおすすめです。
プリントの種類を知っておくと安心
ナイロンに使われるプリントのやり方はいろいろあります。
たとえば、ラバープリントという方法は、ゴムっぽいさわり心地で、少しふくらみがあるのが特徴です。
デザインを目立たせたいときによく使われます。
シルクスクリーン印刷は、細かい絵や文字もきれいにプリントできて、はっきりした色を出したいときにぴったりです。
それから、熱転写プリントは、アイロンのような熱を使ってプリントを貼りつける方法で、1枚ずつちがうデザインでも簡単に作れるのがポイントです。
プリントのやり方によって、くっつけ方や使う道具がちがうので、直すときにもどの方法が使われていたかを知っておくと、うまくいきやすくなります。
プリントがはがれるのはなぜ?原因を知ろう
ナイロンのプリントがはがれてくるのには、いくつか理由があります。
まず、何度も洗ったり、服どうしがこすれたりすることで、プリントの接着力が弱くなることがあります。
特に洗濯機でガラガラと洗うと、はがれやすくなることがあります。
次に、太陽の光を長く浴び続けたり、乾燥機で熱を加えすぎたりするのも、はがれの原因になります。
熱でプリント部分がやわらかくなって、ぺりっと取れてしまうことがあるのです。
それから、もともと生地とプリントの相性がよくないと、少しの刺激でもはがれてしまうことがあります。
こうした原因を知っておくと、どんな直し方が合っているか判断しやすくなり、次にはがれにくくする工夫もしやすくなります。
おうちでできる!ナイロンプリントのかんたん補修ガイド
はじめに準備しよう!必要な道具と材料
補修を始める前に、次のような道具をそろえておくとスムーズに作業ができます。
・温度調節できるアイロン:低めの温度で使えるタイプがおすすめです。
・あて布やクッキングシート:熱を直接当てないようにするために使います。
・ナイロンに使える布用接着剤:乾きが早くて、透明になるものが使いやすいです。
・ピンセット・綿棒:細かい部分に接着剤をぬるときや、位置を直すときに便利です。
・アイロンプリントシート(必要に応じて):広い範囲の修正や、新しくデザインをつけ直したいときに使います。
・はさみと定規:形を整えたり、きれいに切るのに必要です。
・新聞紙や作業マット:机や床が熱で傷つかないように下に敷いておきましょう。
アイロンを使って補修する手順
ナイロンのプリントが部分的にはがれてしまったときは、アイロンを使って簡単に補修できます。
やり方は次のとおりです。
1.はがれたところを整えて、ほこりや汚れをきれいに拭き取ります。
2.その上にクッキングシートやあて布を重ねて置きます。布は1枚でもOKですが、不安なときは2枚重ねにしてもいいです。
3.アイロンは110~130度くらいの中温に設定し、スチームは使いません。
4.アイロンをプリントの上からそっと押し当てて、5~10秒ほどそのままにします。動かさないように注意しましょう。
5.終わったら、さわらずにそのまま冷まして、完全に冷えたら完成です。
接着剤を使って直す方法のポイント
アイロンではむずかしい細かい部分や、熱をあまり加えたくないときは、接着剤を使って直す方法もあります。
1.まずは直したい場所をきれいにふき、必要なら周囲をマスキングテープで保護しておきましょう。
2.綿棒や細い筆で、接着剤をうすく、均等にぬります。たくさんつけすぎないように注意!
3.はがれた部分をもとの位置にぴったり合わせて、軽くおさえます。
4.上からあて布をそっとのせて、やさしく手で押さえます。力は入れすぎないようにしましょう。
5.アイロンの温度は90~110度くらいに設定して、数秒ずつゆっくりと熱を加えていきます。
6.終わったらすぐに使わず、1~2時間ほどしっかり乾かすと、はがれにくくなります。
プリントがはがれても大丈夫!ナイロンを楽しく直して、自分だけのデザインにしよう
絵の具や染料で“はがれた部分”をおしゃれに変身
プリントが取れてしまった場所も、少しの工夫で楽しく直すことができます。
たとえば、布に使えるアクリル絵の具を使って、色をぬり直す方法があります。
元の色に近い色を選んで、筆やスポンジでぬれば、目立たず自然に仕上がります。
もっと自由に楽しみたい人は、違う色を混ぜてグラデーションにしたり、模様を描いたりしてもOKです。
アート作品のように仕上がるので、絵を描くのが好きな人にはとくにおすすめです。
また、布用の染料を使うと、繊維の中までしっかり色が入り、洗っても落ちにくくなります。
長く使いたいアイテムには染料、気軽に楽しみたいときは絵の具――というように、使い方に合わせて選ぶのがポイントです。
転写シートでかんたんにリメイク&補修
アイロンで貼れる転写シートを使えば、補修とアレンジが同時にできます。
好きなイラストや文字をパソコンで作って転写シートにプリントし、それをアイロンでナイロンにくっつけるだけ。はがれた部分を隠すのにもぴったりです。
今では、明るい布用・暗い布用など素材に合ったシートも売られているので、生地の色に合わせて選ぶときれいに仕上がります。
ほんの少し手を加えるだけで、古くなったアイテムが「自分だけのデザイン」に生まれ変わるのが、転写の楽しいところです。
はがれた部分を“見せる”リメイクにして楽しもう
プリントがはがれてしまった場所を、あえて見せるデザインに変えるという方法もあります。
たとえば、ワッペンを貼ったり、刺しゅうを入れたりすることで、はがれた部分を新しいポイントにできます。
ワッペンはアイロンで貼れるタイプも多く、手軽に使えるのがうれしいところです。
デザインもたくさんあるので、好みに合わせて選べます。
刺しゅうなら、手作業で好きな模様を入れられるので、オリジナル感もアップします。
立体的な仕上がりで、見た目にぬくもりも加わります。
こうしたリメイクは、ただ直すだけではなく、持ち物に新しい個性をプラスできる方法として注目されています。
プロにお願いするときに知っておきたい基本ポイント
安心して頼める修理業者を選ぶには?
ナイロン製のアイテムをお店に直してもらいたいときは、ナイロン製品の修理経験がしっかりあるところを選ぶと安心です。
特に、ホームページなどで「ビフォー・アフター」の写真が見られる業者は、どんな仕上がりになるかをイメージしやすく、技術力の目安にもなります。
また、問い合わせをしたときに、ていねいに対応してくれるかどうかも大切なチェックポイントです。
電話やメールの受け答えがスムーズで、こちらの質問にもしっかり答えてくれるお店なら、信頼しやすいですね。
費用の相場と送り方のコツ
ナイロンのプリント部分を直す料金は、大きさや素材、作業の内容によって変わります。
目安としては、2,000円~5,000円くらいが一般的ですが、もし細かい作業や特殊な加工が必要な場合は、7,000円以上になることもあります。
修理品を送るときは、追跡ができる宅配便やレターパックプラスなどを使うと安心です。
配送中のトラブルを防ぐためにも、保証付きの方法を選びましょう。
さらに、品物と一緒に「どこの部分が気になるか」「どう直してほしいか」などを紙に書いて入れておくと、お店側も作業しやすくなります。
依頼する前にチェックしておきたいこと
修理をお願いする前に、次のようなポイントをできるだけ詳しく伝えることが大切です。
・プリントの種類(ゴムのようなタイプ、アイロンでつけたタイプなど)
・ナイロン生地のタイプ(ツルツルしているか、ざらざらしているかなど)
・傷みの広さや原因(はがれ、変色、こすれなど)
また、商品の状態がわかる写真をメールで送ると、正確な見積もりを出してもらいやすくなります。
あわせて、作業にかかる日数や、直した後のもちのよさ(耐久性)についても確認しておきましょう。
最後に、保証がついているか、やり直しができるかどうかもチェックしておくと、あとで安心して使えます。
ナイロンプリントをきれいに長く使うためのお手入れ方法
洗濯するときに気をつけたいこと
ナイロンの生地はこすれに弱いため、洗濯をするときは裏返してから洗濯ネットに入れるのが基本です。
これによって、プリントの表面が他の服や洗濯槽に当たるのを防ぐことができ、はがれや傷みを減らすことができます。
使う洗剤は、中性タイプのやさしいものを選びましょう。
漂白剤やアルカリ性の強い洗剤は、生地やプリントが傷みやすくなる原因になります。
洗濯機を使う場合は、「手洗いコース」や「おしゃれ着モード」など、やさしく洗える設定にして、できるだけソフトに洗うことを意識しましょう。
乾かすときのひと工夫でプリントが長持ち
洗ったあとの乾かし方にも、プリントを長持ちさせるためのポイントがあります。
乾燥機を使うなら、高温ではなく「低温」モードに設定して、短めの時間で終わらせるようにしましょう。
高い熱は、プリントをはがれやすくしたり、生地を変形させたりすることがあるからです。
一番おすすめなのは、風通しのよい日陰に干す方法です。
直射日光に当てると、色あせや劣化の原因になることもあります。
干す前にタオルで軽く水分を取っておくと、早く乾くうえに型くずれもしにくくなります。
日ごろのちょっとしたケアで差がつく
ナイロン製品は、使ったあとに少しお手入れをするだけでも、見た目や状態が長く保てます。
たとえば、着用後には汗やホコリをやわらかい布でやさしくふき取ると清潔に保てます。
とくにプリント部分は傷みやすいので、こすらず、軽く押さえるように拭くのがコツです。
しまうときは、湿気の多い場所や日が当たる場所を避けて、風通しのよいところに保管すると安心です。
さらに、ときどき陰干しをすることで、湿気やカビの予防にもつながります。
ちょっとした心がけで、大切なアイテムを長く楽しめますよ。
補修作業で失敗しないための注意点と予防のコツ
よくある失敗とその防ぎ方
ナイロンのプリントを直すとき、ありがちな失敗にはいくつかパターンがあります。
たとえば、アイロンの温度が高すぎて生地が溶けてしまったり、接着剤をつけすぎて跡が残ったりするケースがあります。
とくに、保護用の布を使わずに直接アイロンを当ててしまい、焼けあとがついたり、色が変わってしまったというトラブルも少なくありません。
また、プリントを貼るときに位置をしっかり決めないまま固定してしまい、デザインがズレたまま仕上がってしまうこともあります。
このような失敗は、狭いスペースで作業したり、急いでやってしまったときに起きやすいです。
そのため、必要な道具を最初にそろえ、作業しやすい場所を用意してから、落ち着いて進めることが大切です。
にじみやはがれを防ぐちょっとした工夫
補修を始める前に、使う素材が色落ちしやすいかどうかを確認することも大事なポイントです。
特に、黒・赤・青など濃い色が入ったデザインは、水分や熱によってにじみやすく、他の部分に色がうつることもあります。
また、使う塗料や接着剤と生地の相性がよくないと、何回か洗っただけで色があせたり、プリントが浮いてきたりすることがあります。
補修が終わったあとは、中性洗剤を使ってやさしく洗い、強い日差しは避けて、風通しのよい日陰で干すのがおすすめです。
ちょっとした工夫で、きれいな状態をより長く保つことができます。
どんどん進化するプリント技術とナイロンに合う素材の選び方
ラバープリントとスクリーン印刷の違いとは?
プリントの方法にはいくつか種類がありますが、よく使われているのがラバープリントとスクリーン印刷です。
ラバープリントは、少しふくらみがあり、ゴムのようなさわり心地が特徴です。
やわらかくて、体の動きに合わせて伸びるので、スポーツウェアや子ども服など、よく動く服にぴったりです。
いっぽう、スクリーン印刷(シルクスクリーン)は、版(はん)を使ってインクを生地にのせる方法で、細かい絵やカラフルなデザインもきれいに印刷できます。
この方法は、同じものをたくさん作るのに向いていて、コストも抑えやすいため、Tシャツやイベントグッズによく使われています。
それぞれの特徴を知っておくと、仕上がりや使い方に合ったプリント方法を選べるようになります。
新しいプリント技術の魅力とは?
最近では、プリント加工の技術が大きく進化していて、よりキレイで長持ちする方法が次々と登場しています。
たとえば、熱圧着シートは、細かいデザインにも対応できて、色がとても鮮やかに表現できるのが魅力です。
見た目がよく、実用的でもあるため、人気が高まっています。
また、UVプリントという方法では、インクを紫外線で固めてプリントするので、でこぼこした面にもそのまま印刷できるのが特長です。
こうした新しい技術のおかげで、これまでプリントがむずかしかった素材や形にも、自由にデザインできる時代になっています。
長く使いたいなら素材選びがカギ
ナイロン製品にプリントをするなら、はがれにくくて長持ちする素材を選ぶことも大切です。
最近注目されているのが、ナイロン専用の接着フィルムです。
これは、洗ってもはがれにくく、こすれても強いので、長くきれいな状態をキープできます。
なかには、生地の動きに合わせて伸びたり縮んだりできるタイプもあり、スポーツウェアやアウトドアグッズのような動きの多いアイテムにもぴったりです。
とくに、よく使う服や外で使う道具には、こうした高性能な素材を使うことで、仕上がりも満足のいくものになるでしょう。
ナイロンプリントを直したあとに気をつけたい!トラブルを防ぐためのヒント集
せっかく直したのにまたはがれた…その原因とは?
修理したばかりなのに、プリントがまたはがれてしまうことがあります。
その多くは、接着がうまくできていなかったり、使い方に問題があったりするのが原因です。
とくに、補修する前にホコリや皮脂などの汚れをきちんとふき取っていないと、接着剤がしっかりつかないことがあります。
すると、すぐにまたはがれてしまうことも。
さらに、強めの水流で洗ったり、高温の乾燥機を使ったりすると、接着面に負担がかかって、直したところがはがれやすくなるので注意が必要です。
補修したあと数日は、洗濯や激しいこすれを避けて、しっかり接着を安定させる時間を取ることが、再発防止のポイントです。
プリントを長持ちさせるための普段のお手入れ
ナイロン製のプリントが長くきれいなままでいてくれるようにするには、日ごろの扱いが大事です。
使ったあとに、軽く汚れをふき取る習慣をつけるだけでも、プリントにかかる負担を減らすことができます。
また、洗濯の回数をなるべく減らすことも効果的です。
直射日光に長く当たると、プリントが色あせたり劣化しやすくなるので、干す場所やしまう場所にも気を配りましょう。
さらに、防水スプレーや専用の保護剤を使うと、プリントの表面をやさしくカバーしてくれるので、色落ちやこすれ対策としておすすめです。
アイロン補修を成功させるための温度とやり方
アイロンで補修する場合は、熱の加え方にとくに注意が必要です。
ナイロンは熱に弱いため、アイロンの温度は90~130度くらいが安全ラインです。
作業を始める前に、目立たない場所や端切れなどで試してみて、生地が変形しないか確認しておくと安心です。
また、プリントの上から直接アイロンを当てるのはNG。厚めのあて布を使って、熱をやさしく伝えるようにしましょう。
さらに、同じ場所に長く押しつけず、2~3秒ずつ軽く当てながら、少しずつ場所をずらして進めるのが、生地を傷めずきれいに仕上げるコツです。
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まとめにかえて
ナイロンに使われているプリントがはがれてしまっても、ポイントを押さえれば、自宅で直すことは十分に可能です。
大切なのは、素材の性質をしっかり理解し、ムリのない方法で丁寧にケアすることです。
日ごろからやさしく扱えば、お気に入りのアイテムをもっと長く使い続けることができるでしょう。
今回ご紹介した内容は、いくつかある修理方法の中の一つです。
実際に補修を試すときは、生地の状態や道具に合わせて、自分に合ったやり方を選ぶようにしてください。
そして、作業はあくまで自己判断・自己責任で、無理のない範囲で行うことをおすすめします。
安全に、そして楽しく、自分なりの工夫で直してみてくださいね。