ビジネスでよく使われる「ご承知おきの程」とは
仕事のメールや社内の連絡文で「ご承知おきの程、よろしくお願いいたします」という表現を見かける人は多いでしょう。
一見すると丁寧な言葉に思えますが、使い方を誤ると「押しつけがましい」と受け取られる場合があります。
ここでは、この言葉が本来持つ意味と、注意すべき場面について分かりやすく説明します。
「ご承知おき」の意味と注意点
「承知」という言葉の基本的な意味
「承知」とは「理解する」「知っている」という意味を持つ言葉です。
「承知しました」と言えば、自分が相手の話を理解したことを丁寧に伝える表現になります。
一方で「ご承知おきください」と使うと、「知っておいてください」というニュアンスが強くなり、相手によっては命令のように感じられることがあります。
使う相手によって印象が変わる
上司や取引先など目上の人に使うと、「こちらの都合を覚えておけ」と受け止められる危険があります。
逆に、同僚や社内への周知であれば不自然ではありません。
相手にどう伝わるかを考えて使うことが大切です。
無理なく使える場面の例
「ご承知おきの程」が自然に使えるのは、次のように「情報を知らせるだけ」の場面です。
・社内規則やシステム変更のお知らせ
・会議で決まった内容を周知するとき
・定期的な案内（休業日や社内イベントなど）
このような場合は、命令的な印象を与える心配が少なくなります。
相手や状況で選ぶ言い換え方
相手に理解をお願いしたい場合
「知っておいてください」と伝えるときには、より柔らかい言葉に言い換えることができます。
・「お含みおきください」：やさしい印象を与える表現
・「ご了承いただけますと幸いです」：相手の納得を求めるときに有効
・「ご理解いただけますようお願い申し上げます」：相手に負担をかける可能性のある内容に適切
行動を求める場合の表現
周知だけでなく、相手に確認や対応を依頼したいときには次のような言葉が適しています。
・「ご確認の程、よろしくお願いいたします」：最も一般的で使いやすい
・「ご査収の程、よろしくお願いいたします」：契約書や請求書などを送るときに便利
・「お見知りおきいただけますと幸いです」：新任挨拶や人事異動の通知で使われる
表現ごとの特徴
・「お含みおきください」は事前の連絡に向いており、柔らかい雰囲気を出せます。
・「ご了承いただけますと幸いです」は合意を必要とするときに適しています。
・「ご理解いただけますようお願い申し上げます」は事情を説明する場合に使いやすいです。
・「ご確認ください」は資料や依頼のチェックに一般的です。
・「ご査収ください」は正式な書類に使う堅い表現です。
・「お見知りおきください」は自己紹介や人事関連で便利です。
例文で確認する適切な使い方
適切なケース
社内向けの周知メールであれば「ご承知おきの程」を使っても問題ありません。
【例文】
件名：【ご案内】社内システム停止について
各位
下記の日程でシステムのメンテナンスを行います。
この間はご利用いただけませんので、ご承知おきの程よろしくお願いいたします。
避けるべきケースと改善例
取引先への依頼やお願いに「ご承知おき」を使うと、冷たく響くことがあります。
【NG例】
「納期が変更となりましたので、ご承知おきの程よろしくお願いいたします。」
【改善例】
「大変恐れ入りますが、納期変更につきましてご理解いただけますと幸いです。」
または「誠に恐縮ですが、ご了承賜りますようお願い申し上げます。」
「ご承知おき」と言われたときの返答
短く返す場合
社内連絡への返信なら、次のように一言で十分です。
・「承知いたしました」
・「かしこまりました」
丁寧に返す場合
取引先など外部とのやり取りでは、感謝を添えると良い印象になります。
【例文】
「ご案内いただきありがとうございます。内容について承知いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。」
スポンサーリンク
まとめ
「ご承知おきの程」という言葉は、必ずしも間違いではありませんが、相手や場面によっては強すぎる印象を与えることがあります。
大切なのは「自分がどう伝えたいか」よりも「相手がどう受け取るか」を意識して使うことです。
状況に合わせて言葉を選ぶことで、より円滑で丁寧なやり取りにつながります。
